ワンちゃんの下痢について
下痢の症状
動物病院には色々な病気の子が来ます。この位ならば来なくても大丈夫!という病気から、命に関わる!という病気まで様々。そんな色々あるなかで特に多い症状は『下痢』です。
なぜ「下痢」で動物病院を訪れる子が多いかというと、下痢は色々な病気の症状の一つとして現れるからです。
ちょっとした胃腸炎(いわゆる食あたり)のときも下痢はするし、ガンや慢性疾患の初期症状として食欲不振や下痢を起こすこともあります。だから獣医師は一言で「下痢」と言っても色々な角度から診断を下さなくてはいけません。
さて、ではお家ではどう判断しますか?
結論を先に言うと「判断しなくていいです!病院に連れてきてください」です。軽い下痢だと思って様子を見ていたら…。もしも、万が一ということもありますからね。
ただ、判断はしなくていいですが、状態は把握してくださいね。獣医師は下痢をしている状況を直接見ていないので、飼い主さんからの情報を頼りにしています。
「3日前から、一日3~4回のタール状の水様便です。食欲はあって嘔吐もありません。4日前の散歩中に何か拾い食いをしていたみたいです」
こんな風に言われると「おぬし、できるな!」と思っちゃいます。
ということで今回のコラムでは「できる飼い主」になるために、下痢についてです。
動物病院で正確に説明できるような知識を付けておきましょう。
下痢とは?
さて下痢とは、ざっくり言うと通常の糞便よりも柔らかくなることです。
結局のところ原因は水分です。何かしらの原因で糞便中の水分が多くなったものが下痢です。正常な便の水分量は60~80%。それよりも水分量が多くなると下痢ということになります。
たとえば、水分量が80~90%になるとソフトクリームのような状態の便(泥状便)、90%以上のものは水様便ということになります。
では、下痢の原因になっている水分がなぜ多くなるか、ちょっと難しいですが考えてみましょう。
そもそも、食べたものは胃から小腸へ運ばれ、食物の栄養素と大部分の水分が吸収されます。
そこで吸収されなかったものは大腸に運ばれ、小腸で吸収されなかった残りの水分が吸収されて、便として肛門へと運ばれます。
この一連の流れを消化吸収といいます。
下痢はこの消化吸収の中で、水分が多くなり起こります。
水分が吸収されないうちに大腸を通過したり、逆に腸の粘膜から水分が分泌されることで、通常よりも水分量が多くなるのです。
下痢の識別ポイント
さて、獣医師は下痢がどのような原因で起きているかを鑑別するためのポイントがあります。
結局、診察室での問診は、獣医師によって聞き方は違いますが、この鑑別のポイントを確認するために行っていることです。 だから、飼い主さんには、このポイントについて答えられるように、家での様子を把握してもらいたいです。
急性下痢とは2週間以内、慢性下痢とはそれ以上続いているものを言います。また、何日前から下痢が始まったのか、徐々に下痢になったのか急に下痢になったのかなども重要な情報になります。
下痢の原因は、小腸にある場合と大腸にある場合の2つに大きく分けられます。どちらが原因になっているかを特定することで、その後の治療や診断にとても役に立ちます。これは排便の状態を確認することが判定に役立ちます。
診断
そして、ここからは獣医師の仕事です。
飼い主さんからの情報から必要な検査を選択していきます。
単純な下痢の場合は検査の項目も少なくて済みますが、慢性の下痢や他の症状がある場合は特殊な検査を選択することもあります。無作為に検査をたくさんすれば、ペットの負担になり、費用も掛かってしまいます。
だから飼い主さんの情報から最適な検査を行うのが獣医師の腕の見せ所です。
では、下痢の症状から病気を診断のために必要な検査をいくつかご紹介します。
診 断 -糞便検査-
糞便検査は、下痢の診断をするためには欠かせない検査です。特によく行われるのは綿棒や採便棒などを肛門に入れて取った便を顕微鏡で見て検査をする方法です(直接法)。単純な下痢や寄生虫症などが原因の下痢の場合、問診と触診そして検便検査だけで、治療を進めることが出来ます。
診 断 -血液検査-
もし、単純な下痢ではない場合、血液検査を行うことが重要になります。下痢が病気の症状の一つとして現れている場合、血液検査で病気が判れば適切な治療を進めることが出来ます。
診 断 -レントゲン検査-
レントゲン検査では腸閉塞や腫瘍性疾患によっておこる下痢の診断に役に立ちます。また、慢性の下痢の場合、時々バリウムを飲ませてレントゲン検査を行うことがあります。
診 断 -超音波検査-
超音波(エコー)検査では腸管の断面像を見ることで下痢による腸管へのダメージの重症度を確認することが出来ます。
下痢の併発症
原因はどうあれ急性の下痢は、短期間に大量の水分とミネラルが失われ脱水状態を起こします。
特に子犬や老犬では、脱水状態によって体の中では、さらにミネラルバランスの異常や重度の衰弱が見られるばかりか、命に関わる状態にもなりかねません。
一方、慢性の下痢の場合は、長期におよぶ栄養素、特にタンパク質の漏出や吸収不良により栄養不良が生じます。栄養素の吸収不良では被毛が粗剛となり、重度の吸収不良を起こすと低タンパク状態になり、体にむくみを起こすこともあります。
だから、たかが下痢と侮らずに早めに動物病院へ行くようにしてください。そして、動物病院で見てもらっているにもかかわらず、なかなか治らないときはセカンドオピニオンを利用しましょう!
つまり他の動物病院へ行くということです。もしくは状態によっては大学病院などいわゆる2次診療を行う動物病院を紹介してもらいましょう。
下痢について色々書きましたが、このコラムは「ソルビダ」のコラムでした。
まったくドックフードの話が出てきませんでした。ということで強引にドックフードのお話も付け加えます。
時々あるのが「急にご飯を変えたら下痢をした」ということです。昨日までAフードだったのに、今日からフードをソルビダに変えた…。それは下痢することもありますよ。
決してソルビダの品質が悪いのではありませんよ。そこは強調しておかないと!だってオーガニックだし栄養たっぷりだし。では、なぜか?
それはAフードとソルビダの原材料や栄養素が違うために消化吸収能力が急激な変更に対応できないためです。だからドックフードを変更するときは、1~2週間かけて徐々に新しいフードの割合を増やしていくようにしましょうね。
下痢のお話参考になりましたか?
もう秋です。少し涼しくなってきました。
秋になると夏にあまりお散歩できなかったから、涼しくなるとお散歩ゆっくりいけますね。
ワンちゃん、草むらに顔を突っ込んで何やらごそごそしてますね…。
次の日、下痢…。そうならないようにしてくださいね。
獣医師 藤野 洋 先生 プロフィール
神奈川県茅ケ崎市出身。
平成13年 日本大学農獣医学部卒業。同年獣医師免許を取得。
神奈川県や東京都の動物病院にて代診医として勤務後、平成16年12月に東京都調布市にて院長獣医師として勤務。平成18年7月に「ペットと飼い主様の幸せな生活のトータルサポート」をコンセプトに、日本では珍しいペットショップ併設動物病院とペットサロン6店舗を経営するとともに、自身も一獣医師として日々診療中。
【ペットビレッジ動物病院:http://www.pet-village.net/index.php】
ソルビダ ラインアップ
家族の一員であるワンちゃんに、いつまでも元気でいてほしいから。人間だけじゃない、ワンちゃんの食事にもこだわりたい。
食にこだわるオーナー様におすすめしたい、オーガニック食材から作られるグレインフリー(穀物不使用)のプレミアムドッグフード。
なるほど!ソルビダ
ソルビダのことや、オーガニック、グレインフリーの話、ワンちゃんの健康にまつわる話など、ソルビダをご愛用いただいているワンちゃんとそのオーナー様に役立つコラムをお届けします。